商業登記とは、株式会社などの法人について、設立から清算までの一定の事項を法務局で登記することで、法人の内容を社会一般の人に公示し、法人を巡る取引の安全を実現する制度です。司法書士はこれら商業登記手続きについて、書類の作成や申請代理業務を行います。登記の種類にはいくつかあり、法人の内容に生じた変化の原因に応じて申請する登記の種類が決められています。主な例としては、以下の通りです。
登記の原因 | 申請する登記の種類 |
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新たに会社を作りたい | 会社設立登記 |
代表取締役や取締役、監査役などの会社役員が変わった | 役員変更登記 |
社名や目的を変更したい | 商号変更・目的変更登記 |
会社の本店を移転したい | 本店移転登記 |
事業拡大のために資本を増加したい | 増資の登記 |
会社経営をやめたい | 解散・清算結了の登記 |
商号変更・目的変更登記の流れ
特例有限会社の場合は、任期○年という規定がないので、何年経過していても改選の必要はありません。
株式会社の場合は、会社を設立した日、又は、役員に就任(重任)した日から
最長10年後の株主総会終結の時で任期切れとなり役員変更登記が必要となります。
(株式譲渡制限の定めのない会社は、任期を10年に出来ません)詳しくはこちら
しかしながら、会社設立後10年以上改選せずそのままという会社を多く目にします。
10年の間に代表取締役の住所が変更しているという事も少なくありません。
■会社法施行前に会社設立し、定款変更で任期を10年にした会社は
「最後に役員変更登記をした年から最長10年後の株主総会終結の時」で任期が切れます。
注)定款変更をした年から10年ではありません
■株式会社設立当時から登記されている方は謄本を見ても役員任期の始期が書かれていません。
「株式会社設立の日から最長10年後の株主総会終結の時」で任期が切れます。
■特例有限会社として設立した会社を、株式会社へ組織変更した場合株式会社への組織変更の際に、役員変更登記を行っていなければ、「特例有限会社設立の日から最長10年後の株主総会終結の時」で任期が切れます。
注)合同会社からの組織変更の場合は、組織変更の日から最長10年です。詳しくはこちら
自身の会社内で手続きされている場合は、今一度ご自身の会社の謄本を確認してみてください。
役員変更や役員の住所変更の登記を怠ると、過料となります。
会社法第915条では2週間以内に変更の登記をしなければならないと定めていますが、
実際は凡そ半年~1年ほど懈怠すると過料通知が届く様です。(明確な基準はありません)
最後の登記から12年が経過した場合や、定められた期間を過ぎた場合、
懈怠の事実を発見した法務局から、裁判所に対して義務違反の事実が通知され、審理が開始されます。
裁判所は登記事項証明書等の資料に基づき違反事実を認定し、過料金額を決定します。
1年程の懈怠で2万円~3万円、懈怠年数が長くなると過料金も増えるようです。
参考資料:過料を知らせる通知文書
過料決定謄本を受け取った日から、1週間以内に異議の申立がなければ、過料決定が確定し、
地方検察庁から、会社ではなく代表取締役社長個人あてに納入告知書が送付されます。
納入告知書が手元に届いたら代表取締役個人が検察庁に対し過料金を納付します。
注意)個人として支払う過料な為、経費や損金には出来ません
※ 会社法違反事件とありますが過料は刑事罰ではなく行政罰なので前科はつきません。
平成26年以降、過料や、みなし解散に関して法務省が積極的に動いています。
これまで何もなかった会社でも、過料の通知が届くかもしれません。
株式会社の場合、最後の登記から12年以上が経過すると『休眠会社』とみなされ、登記所からの通知及び法務大臣からの公告から2カ月以内に、役員変更登記、又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合は「みなし解散」として、登記官の職権で、解散したという登記をされてしまう場合があります。(一般法人の場合は5年)
また、通知に基づき「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合でも、必要な登記申請を行わない場合は、翌年以降も整理作業の対象となります。
実際に、毎年1万5千件程の会社が解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をしています。また、職権で解散の登記がされてから3年が経過すると、今度は職権で解散・清算結了の登記がなされ会社の存続が出来なくなります。
改選の時期の過ぎた役員がいる場合は早急に役員変更登記を行ってください。
役員変更登記について不安のある方は、一度司法書士にご相談ください。
法務省の「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」に関するリーフレットはこちら→法務省リーフレット
こちらも参考に
これまで商業登記に携わってきた中で感じた事や注意事項などをまとめています。
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