被相続人が若くして亡くなった場合や、数次相続の場合、
相続人が未成年者という事があります。
相続人である事に間違いはありませんが、未成年者(17歳以下※)本人が直接
遺産分割協議書に印鑑を押すことは出来ません。
未成年者が法律行為を行うには、原則として法定代理人の同意が必要だからです。
補足)役所での印鑑登録は16歳から可能です。
そこで、法定代理人である親が、未成年者に代わり印鑑を押す事ができるかというと、出来ません。
親と子でお互いの利益が相反する事(子の権利を親が侵害する事が可能な状態)になるからです。
利益相反の例:親が全ての財産を1人で相続したいがために、遺産分割協議の内容を作成する、
又は子に相続放棄をさせる事が可能な関係
未成年者の遺産分割協議や相続放棄には特別代理人の選任が必要です。
未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対し申し立てを行い、
特別代理人に選任された人が、未成年者に代わり遺産分割協議や相続放棄を行います。
未成年者が2人以上いる場合は特別代理人も未成年者の数だけ必要です。
(特別代理人は兼任できません)
特別代理人選任について詳しくはこちら
親権者である父又は母が,その子との間でお互いに利益が相反する行為(これを「利益相反行為」といいます。)をするには,子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。また,同一の親権に服する子の間で利益が相反する行為や,未成年後見人と未成年者の間の利益相反行為についても同様です。
利益相反行為とは,例えば,父が死亡した場合に,共同相続人である母と未成年の子が行う遺産分割協議など,未成年者とその法定代理人の間で利害関係が衝突する行為のことです。(裁判所HPより)
なお、未成年の相続放棄ですが、親と同時に相続放棄の申述をする場合や、
初めから相続人が未成年者のみの場合は特別代理人の選任は不要です。
相続人に未成年者がいる場合は専門家にご相談下さい。
状況に合わせて適切なアドバイスを致します。
特別代理人の選任が難しい場合はこちら→「相続分のないことの証明書」小川雅史コラム
※)成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部改正(令和4年4月1日施行)
により施行日以降「未成年者」は17歳以下の子となります。
こちらも参考に
これまで相続や遺言書作成に携わってきた中で感じた事などをコラムや注意書きとしてまとめています。
2022年 8月 1日 | 相続
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