成年被後見人が相続人となる場合、遺産分割協議は後見人が行います。
遺産分割協議書への署名及び押印も後見人が行います。
後見人が司法書士や弁護士等資格者の場合、署名捺印の際は住所に注意が必要です。
大辞林 第三版の解説
せいねんひこうけんにん【成年被後見人】
精神上の障害により判断能力を欠く状況にある者として、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者。従来の禁治産者に代わり成年後見制度により導入され、法的な行為は後見人にほぼ代行されるが、日用品の購入など日常生活上の判断はゆだねられる。
後見人として登記する際、事務所住所で登記して後見事務を行う場合が多いため、
遺産分割協議書も、通常の後見事務と同様と考え、事務所住所で署名、押印したとします。
ここで問題となるのが、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書です。
法務局へ提出する証明書類は、官公庁発行のものでなければなりません。
司法書士会や弁護士会が発行した印鑑証明書を添付しても登記は出来ないのです。
司法書士会や弁護士会は官公庁ではないため、法務局への証明書として使用出来ない為です。
では、どうするか。
1)遺産分割協議書の後見人住所を個人住所とし、個人の実印を押印。
司法書士会や弁護士会から、個人住所と事務所住所が併記された証明書を発行してもらい
市町村発行の印鑑証明書と共に法務局へ提出する。
併記された証明書は、市町村が発行する印鑑証明書には個人としての証明しかなく、
登記された後見人が 確かに印鑑証明書の個人と同一人物である事の証明として添付します。
2)事務所住所の記載された印鑑証明書を裁判所に発行してもらう。
既に事務所住所で交わした遺産分割協議書に訂正を加えたくない、個人の住所を出したくない、
という場合は裁判所発行の印鑑証明書を法務局に提出するのがいいでしょう。
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これまで相続や遺言書作成に携わってきた中で感じた事などをコラムや注意書きとしてまとめています。
2018年 7月 5日 | 相続
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