先日、お客様から依頼があり、官報へ公告を掲載しました。
私が直接官報に関わるのは会社に関する公告が主ですが、
官報には他にも様々な公告が掲載されています。
中でも裁判所関係の公告が一番多く、官報全32項のうち、約半分にあたる19項が
相続や破産に関する公告で、この日は34件の相続人不明による相続財産管理人の選任に関する公告がありました。
身寄りの無い故人の財産は、最終的に国庫に帰属します。
しかし、国庫に帰属するまでには利害関係人からの裁判所への申立、複数回の官報への公告掲載、
長期にわたる公告期間を経て、相続人や特別縁故者からの申出がなければやっと相続人不在住が確定し、国庫に帰属します。
利害関係人のこの労力は計りしれません。
奈良時代の日本の法律では、身寄りの無い故人の財産は隣近所が管理するという内容でした。
日本で初めて「律」(現代の刑法)と「令」(現代の民法や行政法)が揃って成立した『大宝律令』の次に施行された『養老律令』には第26条喪葬令の中に
身喪戸絶条として身寄りの無い故人の財産に関する事を定めた条文があり、
この最後に出てくる「存命中に行った処分の証拠」というのが
日本で最も古い遺言書に関する記述であると解釈されています。
(大宝律令は原文が無い為、記述内容が不明)
過去でも現代でも、遺言書には大きな力があります。
相続に不安のある方は遺言書を作成し、お世話になった方へ財産を遺贈すれば相続手続きはスムーズに進む事でしょう。
第26条喪葬令 13身喪戸絶条(現代語訳)
「人が死亡して、戸が絶え親族もない場合は、所有していた家人・奴婢、及び田宅・資材は四隣五保(今でいう隣組)が共同で管理運営すること。財物は供養に使ってしまうこと。家人・奴婢は解放して良人とすること。」
「もし死亡者の存命中に処分して、証人・証拠書類が明らかならば、この令は適用しない」
2015年 12月 17日 | 相続
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