土地の登記事項証明書や、不動産の課税明細書には「地目」という項目があります。
登記の地目が「田」や「畑」になっている場合でも、現状は農作物を育てていない土地は多くあります。
「農家をしていたが、引退して農地を使わなくなった」
「親から農地を相続したが、農業をする予定はない」
農地として使用しなくなった土地に、建物を建てたいと考えた場合
どんな手続きが必要になるでしょうか?
許可や届出が必要な農地
日本国内の土地は、都市計画法に基づき定められた都市計画区域の中で
「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」に分かれます。
市街化区域 :すでに市街地を形成している区域及び
おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域:市街化を抑制し、開発などは原則として行わないと定められた区域
非線引き区域 :区域区分が定められていない都市計画区域
登記された地目が「田」や「畑」の場合、その土地が市街化区域にあるのか、
市街化調整区域にあるのかで、手続きや建築の可否が決まります。
※現在20ある政令指定都市以外の市町村では、非線引き区域も多くありますが
今回は政令指定都市(名古屋市)を中心に説明しています。
市街化区域内の農地→農業委員会に農地転用届を提出
調整区域内の農地 →農業委員会による許可が必要(名古屋市説明)
名古屋市都市計画情報提供サービスを利用すると
該当地の区域区分や用途地域が確認出来ます。
登記地目の変更
必要な届け出や許可申請ののち、土地の地目を変更する登記を行います。
地目変更を行わないままでは、融資に影響が出るばかりか、のちに売買を行う予定が出来た時に、
時間や手間が掛かったり、再度農地転用の手続が必要になる場合もあります。
現況と地目が合致しないと登記申請が出来ない為、
地目変更登記は建物建築後に、建物の表題登記等と共に行います。
一般的に、市街化調整区域内の土地を購入し、そこに家を建てる事は難しいとされていますが
農林漁業を営む者の居住用建築物や、住宅兼用店舗など、開発許可が不要な建築物を建てる事や
調整区域内にも宅地利用が可能な土地もありますので、建物を建築したい土地に合わせて
事前に調査する事が大切になります。
こちらも参考に
これまで不動産登記に携わってきた中で感じた事などをコラムや注意書きとしてまとめています。
小川雅史コラム 不動産カテゴリ
2023年 2月 27日 | 不動産
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