「破産」と聞いて何を思い浮かべますか?
「無一文になってしまい、職も失う」というマイナスイメージを持つ方が多いかと思います。
破産には「債務者を再生させる」という目的もあるのです。
破産は「破産法」という法律で規定されており、債務者の今ある財産を現金化して、その現金を債権者に平等に返済する手続を指します。
破産手続が開始されると原則として、債務者は自身の財産についての管理・処分ができなくなります。 裁判所が破産管財人(以下、管財人)という財産の管理を行う者を任命し、管財人が債務者の財産を現金化して、債権者に返済を行います。
また、破産法では「債務者について経済生活の再生の機会の確保」を目的のひとつとしています(1条)。 そのため、債務者が利用できる財産も定義されています。具体的には、破産手続開始後に得た財産や差押え禁止財産(衣服・寝具・家具・台所用具・99万円以下の現金など)については、債務者が自由に処分できることになっています(34条3項等)。管財人が債権者へ返済を行ったにもかかわらず債務が残っている場合、債務者は裁判所から免責を得れば、債務を免れることが可能です。 破産法では、「一定の事由(免責不許可事由)に該当しなければ免責を許可する」という規定になっています(252条1項)。ただし、税金や罰金、養育費など一部の債務は免責されません。
事例を出して、もう少し具体的に破産手続の流れについて見ていきましょう。
以下の項目に当てはまる会社員Aさんがいます。
・給料:1ヵ月の手取りは30万円
・借金:3,000万円(1ヵ月の返済額は27万円)
・アパート暮らし:1ヵ月の家賃は10万円
・離婚による養育費の支払い:1ヵ月の支払いは5万円
・骨董品:時価総額300万程度
破産手続が開始されると、Aさんの財産は管財人が管理することになります。
管財人はAさんの骨董品を売却し、債権者に返済する資金を作ります。 ただし、布団や一定の現金は、生活必需品として管財人の管理する財産から除かれます。また破産開始後に支給される給料は、Aさんが使えます。債権者は管財人から返済を受けるので、Aさんは債権者に借金を返済する必要はありませんし、基本的に債権者はAさんから取り立てられません。
管財人が集めた財産である骨董品(売却代金300万円)では、債務のすべてを返済できません。Aさんは残った債務の免責を裁判所に求めることになります。免責不許可事由がないことから、Aさんは免責を無事得ることができるでしょう。
注意しなければならないのは、借金は0円になったとしても養育費は引き続き支払わないといけない点です。 破産手続をしたことでAさんは、給料(30万円)から家賃(10万)と養育費(5万)を差し引いた15万円を毎月手元に残せるようになりました。
以上が破産手続の簡単な流れです。
破産しても一定の財産は手元に残りますので、必要以上に怖がらなくても大丈夫です。
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2019年 9月 9日 | 法律豆知識
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