相続人が誰もいない場合や、全員が相続放棄をした場合、相続人不存在となります。
民法の規定では、相続人が不存在となった場合は相続財産は法人化し、
相続財産管理人の選任がなされ、残った財産は国庫に帰属します。
第951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
第959条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
ここまで見ると、相続人が誰もいなくなった相続財産は、国が管理するかのように見えます。
しかしながら、ここにも落とし穴があります。
相続財産管理人の選任は、誰かが裁判所に対し相続財産管理人選任請求の申立をしなくてはなりません。
被相続人が金銭債務を抱えていた場合は、債権者が申立をするでしょう。
債権者がいない場合、不動産の管理責任を負った相続人が申立をするとよいかのように見えますが
相続財産管理人には報酬が発生します。報酬は相続財産から支払われることになりますが、
不足があれば申立人が支払うことになります。
空き家を相続しない為に相続放棄を選択し、
その結果、所有権は相続出来ないながらも、管理責任により空き家を管理しなければならず、
管理責任から逃れるために相続財産管理人を選任し、
結局、相続財産管理人に対して、相応の報酬を支払うことになります。
売却が難しい不動産は、国も帰属を渋る場合が多く、
相続財産管理人の業務とその報酬は、相続財産が無くなるまで続きます。
安易に相続放棄を検討するのではなく、
専門家に相談し、対応を検討する事をお勧めします。
2020年 6月 15日 | 相続
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