令和5年4月1日より施行される民法改正についておさらいします。
■相続制度(遺産分割)の見直し
・具体的相続分による遺産分割の時的限界
:相続開始から10年を経過した後に行う遺産分割は具体的相続分ではなく法定相続分による。
(分割方法は遺産分割であり共有物分割ではない、全員の合意で具体的相続分による分割も可)
10年経過前に遺産分割請求をした場合、又は遺産分割請求が出来ないやむを得ない事由があり
事由消滅時から6カ月以内に遺産分割請求をした場合は例外となる。
:令和5年4月1日以前に死亡した被相続人の遺産分割にも新法が適用
(経過措置により5年の猶予期間あり)
:遺産共有と通常共有が併存する場合、相続開始時から10年が経過したときは
共有物分割訴訟において、遺産共有関係の解消も可能。
:共有者は、相続開始から10年を経過した時に限り、持分取得・譲渡制度により
所在等不明相続人との共有関係解消が可能になる。
:共有者は、裁判所の決定を得て、不明相続人の持分相当の金銭を供託する事により
取得、譲渡することが出来る。
法務省作成のパンフレットはこちら → パンフレット
現時点で発表されている内容はこちら→法務省サイト
施行期日 | 改正の項目 |
令和5年4月1日 相続土地国庫帰属 制度は 令和5年4月27日 |
・遺言の内容を踏まえた所有権移転登記の単独申請 (特定財産承継遺言、遺贈など) ・形骸化した登記の抹消手続の簡略化 (期間経過後の買戻し特約、解散法人の担保権など) ・登記簿の付属書類閲覧基準の変更 (閲覧可能な請求人を「利害関係」→「正当な理由」) ・所有者不明土地等に関係する民法の改正 (相隣関係、共有、財産管理制度、遺産分割など) (当職コラム記事:越境した竹木の枝の切り取り) (当職コラム記事:土地建物利用に関する民法改正のおさらい①②③) ・相続土地国庫帰属制度 (当職コラム記事:相続登記の義務化と土地の国庫帰属) (当職コラム記事:相続土地国庫帰属制度の概要) |
令和6年4月1日 |
・相続登記の義務化と過料の適用 (当職コラム記事:相続登記の義務化と土地の国庫帰属) ・相続人申告登記 (当職コラム記事:相続登記の義務化と土地の国庫帰属) ・会社法人等番号の登記事項化 (法人等が所有権登記名義人となる場合、会社法人番号も登記事項) (当職コラム記事:住所変更登記申請義務化と職権登記①~④) ・外国に居住する所有権登記名義人の国内連絡先の登記 (国内連絡先に指定された者の住所氏名等を登記) ・DV被害者等保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例 (対象者が載る登記事項証明書は現住所に代わる事項を記載) (当職コラム記事:DV被害者保護のための住所非表示措置) |
公布後5年以内 (R8年4月 までに開始) |
・住所変更登記等の義務化と過料適用 (当職コラム記事:相続登記の義務化と土地の国庫帰属) (当職コラム記事:住所変更登記申請義務化と職権登記①~④) ・住所変更登記の職権登記制度 (自然人からの申出により住所を職権変更、法人等は申出不要) (当職コラム記事:住所変更登記申請義務化と職権登記①~④) ・所有不動産記録証明制度 (当職コラム記事:所有不動産記録証明制度(仮称)とは) ・登記名義人の死亡情報について符号で表示 (当職コラム記事:所有者の死亡情報を登記情報に表示する) |
こちらも参考に
これまで不動産登記に携わってきた中で感じた事などをコラムや注意書きとしてまとめています。
2023年 3月 27日 | 不動産
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