公正証書で遺言書をこれから作成される、又は既に作成された場合にも、
ご注意頂きたい項目の最終回です。
第四回 「相続財産に市街化調整区域にある農地が含まれる場合」
市街化調整区域、という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?
都市計画法に基づき制定される、市街化を抑制すべき区域です。
市街化調整区域の土地の所有権を移転しようとした場合、農地法の許可申請が必要となり
新たに権利を取得するのは農業を営むものに限る、など様々な制約があります。
・ 相続人への相続
・ 包括遺贈(財産の全てをこの人へ、など)
・ 時効取得
等の理由で、権利を移転する場合は、特に許可を受ける必要はありません。
(農業委員会に対して、所有者が変わった旨の届出が必要です)
よって、相続により親から子へ権利を移転する事は、何ら問題ありません。
しかしながら、相続人ではない相手(養子縁組していない孫や子供の配偶者など)に対し、
特定の農地を遺贈したいとなると、遺贈される相手(受贈者)が農業を営むものでないと
農業委員会の許可が下りません。
たとえ公正証書で遺言を作成していたとしても、農地法の許可が下りない限り、
所有権移転の登記手続きが出来ないのです。
回避する方法は
所有する全ての不動産を特定の人物へ、と遺言書を作成するほかありません。
既に特定遺贈の方法で遺言書を作成してしまった場合は、撤回又は補充・更生する事をお勧めします。
ちなみに、農地を相続した人が農業を営まない場合、どうしたらいいのでしょう?
農業はしない、誰かに売ることも難しい、となると宝の持ち腐れです。
そんな時は、農業委員会へ申込を行い、
農地を借りてくれる業者や買い取ってくれる業者を募ってもらう方法があります。
詳しくはお住まいの地域の農業委員会へお問合せ下さい。
公正証書で遺言を作成しても、記載方法や遺言内容によっては、遺言者が思った通りの効果を
発揮しないことがお分かりいただけましたでしょうか?
遺言書の作成は専門家へご相談頂くのが、トラブル回避の第一歩です。
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2018年 5月 1日 | 遺言
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